先日、患者さんのエコー写真を見せていただいて久しぶりに私も自分のエコー写真を引っ張り出してきていろんなことを思い出しながら見てみました。
私の二回の流産のお話をします。
(苦手な方は、見ないでくださいね)
私は2016年の1月初めての妊娠をしました。
しかし、2月13日規則的な痛みと出血で自宅にて流産しました。
赤ちゃんは早くから成長が止まってしまい、子宮内胎児死亡という診断で、2月14日子宮内容物除去術という日帰りの手術を全身麻酔で行いました。
産婦人科にお腹の大きな妊婦さんがいるなか、私の赤ちゃんは成長をやめ天国に行ってしまい、空っぽになったお腹を触りながら待合室で泣いたこと、今でもはっきり覚えています。
その産婦人科さんは、実家のそばにあり私の手術をしてくれたのは奇遇にも私が生まれた時にわたしをとりあげてくれたおじいちゃん先生でした。
手術が終わったあと、先生に
「お疲れ様」と、アップルジュースをもらいました。
1つのアップルジュースだったけど、すこし心が救われました。
でも、なんでわたしなんだろう?
なんでわたしの赤ちゃんは成長をやめてしまったんだろう?
どうしてみんなは普通に赤ちゃんを産んでるのに...
と切なくて悔しくて言葉にできないむなしさがいっぱいでした。
小さな胎嚢のエコーを何度も何度も見て、小さいのかな?赤ちゃんは見えないのかな?来週見えるかな?他の人のはどんなエコーなのかな?ずっとずっと気になって、携帯で調べて...エコーをみすぎて消えてしまうんじゃないか?と思うほど見続けました。
だから小さなエコーファイルもシワシワで。(おかげで、あの時エコーを解読する勉強をたくさんして今ではエコーの英語とか数値を見れるようになりました!.. )
流産が始まった時、ものすごく痛くて生理痛の100倍くらいの痛みだと思ったけど...出産を経験したいま、あれは序の口でした...
だけど出産と違うのは、亡くなってしまった赤ちゃんを産む痛みにはとてもじゃないけど心が耐えられないということ。決して出産より楽だなんて言葉で励まさないでほしかったです。
しばらくして8月、二回目の妊娠をしました。
長野のびんずる祭りの暑い頃でした。
私は浴衣の女王コンテストの最終予選に進み、その日は夜浴衣を着てコンテストに挑む日でした。
二回目の妊娠も、胎嚢が小さく、心拍確認もできず、先生からは今回もダメかもなあと言われました。
そしてコンテストの日の朝、あの痛みと出血はまた襲ってきたのでした。
二回目の流産だからか、冷静な自分がいました。
悲しいとかそういう感情ではなくて、なんか無視したい気持ち。
この現実を、なかったことにしたい気持ち。
私は、浴衣を着て、髪をセットしてコンテストに行きました。
でも痛くて!腰が砕けそうなのに、浴衣を着て...
いま流産してるんです、なんて誰にも言えなくて。
控え室では、座ってられなくて冷や汗かいて、ずっとウロウロ。きっと緊張してる人に見えただろうなあって。
必死に笑って、必死に話して、私の魂の叫びが届いたのか、結果はグランプリをいただきました。
すべて落ち着いて病院に行くと出血はおわり、自然流産で手術の必要はなく、経過観察になりました。
二回目の流産を経て三回目の妊娠をしました。
2017年1月。
あれから一年が経った頃で、今の家に引っ越し、そしてココちゃんを飼った頃でした。
三度、妊娠するとなんとなく、妊娠した時がわかります。
すこし火照って、脈が変わり、女の勘?なのか、妊娠したな?っと。
病院に行くと、妊娠してますね。と胎嚢のエコーをもらいます。
そこまでは、3度目。
問題はそこから先に進んだことがないということでした。
今回も胎嚢は小さく、次心拍確認できなければ不育症の検査しましょうと言われました。
先生にもズバリ言われ、私は三回目流産だったら、生きていけないと思いました。
車で泣いて、自分を守るためにダメだった時の保険をかけようと思いました。
それが2結婚式を予約することでした。
結婚式を予約して、もしダメだったら全力で結婚式を楽しむ!もし赤ちゃんが産まれたら生後3ヶ月!とご褒美を2つ用意しました。
そして、二回目の流産で学んだ大きなこと。それは
赤ちゃんに任せる
ということでした。
夫と病院に行く車の中で、
「私たちが産まれて欲しいとか子どもがほしいじゃなくて、赤ちゃんが産まれてきたいかどうかを聞きに行こう。だからどっちでもいいよって親として受け入れてあげよう」
と話してその日エコーをしてもらうと...
ドクドクドク
小さくて早い心拍を確認できました。
まだ形もよくわからないエコー。だけどそこには初めて聞く心拍とそのモニターがありました。
そんな小さくて平均より遅く成長した娘は無事に3500gで産まれ、今では成長曲線を飛び抜ける大きさに成長しました。
育児をしていても思い出すこと、
それは二回の流産が教えてくれた
赤ちゃんに任せる
ということです。
私がこう育てたい、こうなってほしい、
いつ、どこで、どうしてほしいか?
なんかは赤ちゃんにとったら全く関係なくて、
大事なことは
赤ちゃんがどうしたいか?
ということなんだと幾度となく思い知らされます。
心拍確認のあとも何度も続く妊婦検診で、心臓は動いてるかな?成長してるかな?大きさは平均かな?とずっと永遠に心配は続きます。
産まれてきてからも、おっぱい飲んでるかな?うんちでるかな?頭ぶつけないかな?熱ないかなあ?
ずっとずっと心配は続きます。
だから、赤ちゃんの運命を信じるしかないのです。私たちにできることは、守ること。でもそれも最低限しか守りきれない。だから最低限のリスク管理以外は信じるほかないのです。
私にとって二回の流産は苦しくて辛い経験でしたが、今ではものすごく大事なことを教えてくれた出来事であり、
二回流産しても妊娠できるという患者さんへの希望になり、
そして経験したからこそ言えるアドバイスや言葉がたくさんあります。
お金を出しても経験したくないことだったけれど、出す価値のある経験だと今では思うほどです。
妊娠する、そして無事に出産ができるということは、ものすごく奇跡に近いことです。
そしてものすごく有り難く、幸せなことです。
だから私は今日もそのお手伝いがしたいし、苦しんでいる人をそっと支えていたいと思います。
赤ちゃんを産みたい!
自分の愛する人の赤ちゃんがほしい!
その気持ちを精一杯応援したい。
そして、赤ちゃんを信じる気持ちも伝えたい。
そう思っています。
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